前段の説明3 【ページ内目次】 ■姿勢 ■上体の構え
■姿勢
◇実修時の姿勢
正座、胡座(あぐら)、半跏または結跏趺坐、椅坐(イスに座る)、いずれでも自分でやりやすい方法で構いません。
胡座(あぐら)系で実修する場合は、下腹部を圧迫しないよう、座布団を二つ折りにしてお尻下に敷いても構いません。
椅坐、つまりは椅子で実修される方が多いと思われますので、それを前提として説明します。他の座り方の場合も上体の構えは同じになります。
椅子を使う場合は、まずは背もたれにもたれかからないこと。できるだけ前の方に座ります。(写真1参照)
そして膝頭は開き過ぎないように。上限として、女性はこぶし一つか二つ(写真2参照)、男性はこぶし三つくらい(写真3参照)が目安となります。
●寝たままで実修してもいいのか
病気等の関係で身体を起こせない方については寝たままで結構です。
その場合は仰向けに寝ていただいて、鈴の印は組みにくいので印は結ばずに腕を体側に置く。掌は下向き、床または側または布団側に向けます。
身体を起こせる方は基本的に「座って」行ってください。
●立ったまま実修してもよいのかどうか
塩谷博士がお元気な時に直接聞いたことは有りませんが、基本的には立位はお奨めしません。
バランス感覚を試すために、両腕を肩の高さに開いて片足立ちするという場合が有ります。そうすると眼を開けている時は問題なくとも、眼を閉じると途端にふらつき始める方も少なく有りません。
人間は視覚も使いながらバランスをとっています。正心調息法は眼を閉じて行いますので、立った状態だと実修中にバランスを崩してしまうことも考えられます。ですから立位の場合は眼を開けた方が良いと思いますが、眼を開けていて果たして集中できるのかという問題が有りそうです。
どうしても立位でなければいけないという状況が想定しにくいので、基本的に座位をお奨めします。
●電車の中で実修しても良いのか
基本的には問題ありません。
ですが座席に座っている時でも、正式にやろうとすれば鈴の印を組む必要があります。持っているバッグの上に印を置くなんてやり方も有りますが、周りの眼が気にならないでしょうか(笑)。立っている場合は吊り革等に掴まっている方が安全ですから印は組めません。
こういう場合は無理に正心調息法と構えずに、できるだけ深い吸息に心掛けるだけでも良いでしょう。
メールで車通勤時に正心調息法をやるのはどうかという質問も有りました。
言下に「やめてください」とお答えしました。まさか運転中にハンドルから手を離して眼を閉じて実修することはないでしょうが、運転中は想念・内観に集中するよりも、運転に集中するべきです。上の例と同様、正心調息法と構えずに、深い呼吸に心掛ける程度がよろしいでしょう。
◇上体の構え
●上体は真っ直ぐに構えます。 (写真1参照)
ただし胸を張る形での真っ直ぐではなく(写真4参照)、自然なままの「まっすぐ」です。横から見ると人間の背骨は湾曲していますが、それは残したままの真っ直ぐです。
正心調息法全体に言えることですが、自然体で構え、無理はしません。
●あごは軽く引きます。
これも力を入れて引くのではなく(写真6参照)、力の入らない範囲で軽く引くだけです(写真5参照)。
●両肘は直角に曲げ(写真8&9参照)、軽く脇に付けます。
脇に付けるのも、力を入れて付けるのではなく、力の入らない範囲で軽く付けるだけです(写真7参照)。
●鈴の印は鳩尾の前、こぶし一つか二つくらいの位置(写真10&11参照)
鈴の印自体は別の所で説明しますが、この状態で印を組むと、おおよそですが鳩尾の前、こぶし一つか二つくらいの位置に落ち着くはずです。 結んだ印は、膝上に置いたり(写真12参照)、テーブルの上に置いたりせず(写真13参照)、浮かせた形になります(写真10参照)。