水も太陽もタダですよね。だから大切なことに気づかないんですね:

あまりに当たり前過ぎて、気づかないことほど大事なの(笑)。いちいち大事なことに気がついていたら、ちょっとうるさいでしょう(笑)。だから一番大切なことは気がつかないはずなの。

先生は「現代はストレスが強いと言われているが、今の時代に限らず、
どの時代にもストレスがあった」と書かれていますが…:

ストレスはいつの時代にもあったんだよ(笑)。ストレスは適当な刺激になっているの。ある程度のストレスがなかったら、ボケてしまうからね。ストレスは、ありがたいものなの。ただストレスを不快な刺激と感じるか、ありがたいと感じるかは受け取る側次第なの。

受け取り側の問題ということで、「プラス思考が大切」などと言われていますが、無理にプラスになろうと思っても無理ですよね。:

プラス思考をするのは細胞。その細胞がお腹ペコペコでは、プラスにはならないし、100点満点の思考はできないでしょう。これが人間の自然なの。

観念的な理論だけが広まっているのではないでしょうか?:

今に限らず昔からそうよ。皆さんは、思想の遊戯をしているの。思想が働いていないのよ。
細胞は十分な酸素があれば、正しい働きをするの。そうでないと、どうしても横道にそれて、正しい働きをしない。
十分に酸素がないのに、教育だ思想だと言ってもダメなの。土台に欠陥があるんだから、正しい思想が生まれてくるはずがない。いくら家庭教育が大切だと言っても、親も子供も酸素が足りないから意味がないがな。正しい思想が生まれ得ない細胞から、正しい思想が生まれるわけないでしょう。

無理に何とかしようとするために、余計おかしなことになってしまうんですね。:

それで、ますます変になったりしているんです。やせ馬にいくらむちを入れても走れないの。

無理に走らせると?:

つんのめってしまう(笑)。

そんな状況がいろいろなところに現れていますね。:

多いね。いや全部と言ってもいいかもしれないね。細胞がちゃんと働いていないから、本当の活力が生まれないし、ちゃんと行動できない。だから結果も出ないの。

根本的なところに目を向けないで、結果だけ求めているんですね。:

いくらでも立派な目標は立てられるし、それを目指そうと言えるの。でもろくに食べていないやせ馬に、きつい坂を登れと言っても無駄でしょう。坂を登ったらいいところに行けるぞとか、えさがあると言ってもね(笑)。
体力がないから、楽な道へ行ってしまう。だから、峠にはたどり着けないの(笑)。

根本的な問題にはふれないで、どうでもいい対策ばかり。状況が一向に良くならないような気がします。:

だから、カタストロフィーが必要になってくる。そして、根本から立て直す。外側についているいらないものを取ってしまうの。

カタストロフィーがないと気づかないところまで来ているんでしょうか?:

絶対に不可能なところまで来てしまったわけだ。今のままでは、逃げ道が一杯あるから。

先生がそのことを実感されて、ずいぶんたちますよね。その間、先生はできるだけのことをされてきた。大変な人生でしたね。:

大変じゃなくて、ありがたい人生。84歳で熱海に隠居したんだよ。海を友として、太陽を友として、月を友として、ここで詩を作って太陽に向かって吟ずる。いい気持ちですよ(笑)。波が来れば良し、静かなのもまた良しで、たったこれだけのことだが、素晴らしい人生を送っていたの。
しかし91歳の誕生日に、それまでの人生を振り返っていたんだな。ああ、ありがたい人生だったなと思った時に、「まもなく死ぬなと」ふっと気がついたのよ。「何年生きられるかわからないけれど、長いことはない」と思った。現世から、むこうの世界への引越しだ。今度はもっといいところへ行くんだがな。うれしいなあ、ここはもうたくさんだと思ったの。
それから、わしが死ぬと、正心調息法が地球上からなくなると思ったの。当たり前なことなのに、それまで気がつかなかったの。頭が悪いものだから(笑)。
「こんなもったいないことをしてはいけない。この呼吸法は残さなければならない。よし、残りの人生はこの呼吸法を広めることに使おう」と決心したの。それで91歳の誕生日の翌日から活動を開始した。そうしたら、正心調息法について話してくれとか、書いて欲しいという話が来るようになったの。
その気になったら、たちまち周りが働き出したの。準備は整っていたんだね。1週間後には銀座で、講演をしたがな。

たった1週間ですか。早いですね。:

思ったら早い、早い。周りが待っていたんだもの。すぐに心霊科学協会から、講演して下さいという話が来たの。そうしたら、講演の内容を出版させて下さいという話になって…。たちまち、広がっていったんです。わしが直接教えていないのに、本を読んで実践して、「前立腺肥大が治った」とか「白内障が治った」という話があちこちから来るようになったの。お膳立てができていたから、こんなに早く広まったんだね。
わしは正心調息法を自分の健康のためだけに使って、自分だけ幸せになっていたの。それで、精一杯のつもりだった。なんで、人に教えようという気にならなかったのだろうかと思ったがな。
正心調息法は60歳から始めたのに、それから30年も気がつかなかった。そこがわしのおろかなところだ。でも気がついたらじっとしていられません。そうしたら、正心調息法を広める機会が与えられる。91歳から始めて、もう100回も講演したの。でも、自分から働きかけて講演会は一つもないがな。私が立ち上がったら、すぐに「来てください」だよ。
3次元の世界から見れば、奇跡に見えるけど、向こうさんから見れば当たり前のことだね。わしが生まれて来た使命もそこにあるから。でなかったら、91歳で死んでしまってもいいわけなの。私の身内はほとんど70歳台で死んでいて、90以上まで生きた人は一人もいない。弟が86まで生きたけれど、これが一番の長生きだな。

お話しを伺っていると、本当にありがたいことですね。:

ありがたいことだけれど、本当は当然だったの。自分の使命が見えていなかっただけなの。

91歳の誕生日に、気がつかれたんですね。:

誕生日に床に入った時に、これまでの人生を振り返ったの。よく生きてこられたとか、あんなことがあった、こんなことがあったとかね。君達は若いからわからないでしょうが、91歳の誕生日ともなるとそんな感慨が浮かぶのよ。

いいタイミングでしたね。:

大きな力に動かされているの。己の力じゃないのよ。いろいろと思い出したのも、己が思い出したんじゃないの。気づかされたんだから(笑)。

先生は講演で奇跡のお話しをされますが、自慢にとる人もいるのではないでしょうか?:

自慢する気はないんだがね。事実をそのとおりに話しても、自慢話に聞こえる。「アホなことを言うな」と言われても仕方がないの。

先生の体験談が信じられない人も多いのではないでしょうか?:

当然なの。「本当かな?」と思わない人だったら、こんなことを話す必要がないくらいだもの。もしそうだったら、私には何にも用がない。「本当かな?」と思う人がたくさんいるから話すのよ。私の言うことを素直に受け取れる人だったら、しゃべる必要はないがな。そんな人は、もう高いところに上がって、素晴らしいレベルに行っているがな。

信じられない人が納得できるように、体験談をお話しされているんでしょうか?:

わしの話は理論、高邁な学説や哲学でないの。事実を話しているだけだがな。でもその事実がなかなか信じてもらえない。理屈なら、いくらでも素晴らしいことは言えるし、そういう人もたくさんいるの。わしは自分の体験と、わしの本を読んだり講演を聞いてくれた人が体験したことしか言いません。

正心調息法は毎日されるのですか?:

25回と回数を決めないで、常にやっているよ(笑)。時間があればいつもやっている。寝ていても、座っていも、歩いていてもね。ただ歩いている時は、鈴の印は組まないの。印を組んで歩いていたら変だからね(笑)。丹田まで空気を入れて、出すだけ。練習しているうちに、歩いている時も自然に腹式呼吸をできるようになるの。
そうすると、歩き方も正しくなるの。せかせかした歩き方でなく、悠々とちゃんと足を使って歩くようなるがな。みんなは足じゃなくて、別の場所を使ってせかせせかと歩いているの。
私の歩き方を見たらいいの。演壇の上がり降りでも、歩いている姿を見たらわかるはずだがな。始めは意識しないとだめだけれど、次第に意識しなくても、悠々堂々とした歩き方になるの。人間はせこせこと歩くものじゃなくて、天地の間を悠々堂々と歩くものなのよ。

天と地の間を歩いているんですね。:

せかせかじゃなくて、ちゃんと大地に足を一歩一歩つけてね。俺の歩き方を見てごらん。どんな時でも、大地に足をつけて悠々と歩いているから。だからこの年になっても、階段から落ちないで歩いているの(笑)。

先生の日常全てが、正心調息法そのものなんですね。

そういう堅苦しいことは言わないがな。自然の呼吸をしているだけ。赤ん坊と同じだがな。しかし面白いことに、空気が深く入るからお腹が動く。寝ていても布団が動いているよ。

普通の人は胸で呼吸していますね。:

お腹で呼吸している人は少ないの。武道の達人は別だけれどね。

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