前段の説明5

【ページ内目次】 ■お尻すぼめ
  ●お尻すぼめの効用  ●肛門の締め方  ● お尻すぼめのその他の効用  ●余談

■お尻すぼめ(肛門を締める)

●お尻すぼめの効用

腹式呼吸法の多くで、呼吸のステップの中に「肛門を締める」ということを取り入れています。正心調息法の場合は充息時に肛門を締めるという動作を組み込んでいます。
肛門を締めることの効果については、塩谷博士も著書の中で何点か挙げられています。

①7つのチャクラが全部活性化する。
②腹圧が高まることによって、腸の周りの血管から大量の血液が押し出され、全身の血行が良くなる。
③横隔膜を間接的に動かすことができ、結果的に深い呼吸の手助けになる。
④肺から丹田、肛門を結ぶ中心線に「空気の柱」ができる。

この「空気の柱」について塩谷博士は次のように言われています。
  (「100歳だからこそ、伝えたいこと」サンマーク出版 P.61)

それが、体の大黒柱として作用し、体の重心は安定し、背筋は無理なく伸びて姿勢もおのずと正されます。また精神的にも、いわゆる肚がすわり、なにごともにも動じないどっしりとした落ち着いた心が形成されていく。肛門をしめることで気がしまり、心を静める効果もあるのです。

●肛門の締め方

肛門を締めるというのは、肛門を直腸の方向に引き上げるという感覚です。わかりやすい例で言うと、排便をするときの力の入れ方ではなく、むしろ下痢や尿意をこらえるときの力の入れ方です。この辺り、たまに勘違いされている方がいますので、お気をつけくださいね。勘違いされたまま、お腹がゆるい時に正心調息法を実践したりすると悲惨なことになりかねませんので。

「充息」の説明のときにも触れることになりますが、充息時には丹田に吸い込んだ空気を押し付けるという上から下への動作と、肛門を締めるという下から上への動作を、同時に行うことになります。私の場合は、空気を押し付ける力と肛門を引き上げる力を丹田でバランスするというやり方をしています。そうすると筋肉痛というほどではありませんが、腰の上の背骨の両脇の筋肉が軽く張ります。塩谷博士にそういうやり方でどうですか、と聞きましたところ、それでいいよ、ということでしたので以降そのように実践しています。

私も最初は肛門をうまく締めることができず、とくに充息の時には一度キュッと締めても、息を止めている間にドンドン緩んでしまうという状態が続きました。上記のようなやり方をするようになって、なんとかできるようになりました。この辺は慣れということも有ります。日頃、肛門を締めるということに意識を向け、実践しておく必要もありそうです。

お尻すぼめ(肛門を締める)のその他の効用

最近では健康関連の雑誌でもお尻すぼめについて、その効用が特集されたりもしています。下記の内容は「ゆほびか/200年12月号」の「お尻すぼめの超効果」という特集に掲載されている効果の羅列です。講習会等ではちょっと口にしにくい項目もありますが、ここでは一気に書いてしまいましょう。

①女性の更年期障害の改善、解消
②冷え性の改善
③便秘の解消
④尿失禁の予防、改善
⑤男性の前立腺肥大の予防
⑥美容面でのヒップアップ効果
⑦膣の締まりの改善、感度アップ
⑧腰痛の改善
⑨男性の精力改善、勃起維持力アップ
⑩痔の予防、改善

同特集に寄稿されている恒川氏(恒川消化器クリニック副院長)の文を、かい摘んで紹介しておきます。

直腸の下部や肛門周辺には、静脈叢といって糸のように細い血管が網の目状に分布しており、体内を巡っている血管系の末端に当たっているため、血液の流れが滞りやすいそうです。そこでお尻すぼめ動作を繰り返すことによって、滞りやすい局所の血流を改善することができる。痔に繋がる「うっ血」の予防、改善にもなる。ただし、イボ痔(痔核)程度のときは大丈夫のようですが、切れ痔(裂肛)とか穴痔(痔瘻)にまで進行している場合は避けてください、とのことです。
正心調息法には、このお尻すぼめの動作は自然と組み込まれています。したがって、毎日25回を実践していけば、自然と上記のような体質の改善を図れるということになってくるはずです。
 ※なお「ゆほびか」のこの号の特集は、青山・王子講習会/基礎講座にご参加の方には参考資料として配布させていただいています。

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余談1

水難事故、海難事故等で大勢の要治療者が発生し、治療に優先順位を付けざるを得ない場合、肛門が一つの判断基準になるという話もあります。つまり、肛門が開いてしまっている人は助かる可能性が低い。肛門がまだ締まっている人は助かる可能性が高い、ということのようです。 やはり、常日頃お尻すぼめを実践しておくことは重要なのかもしれません。

余談2

「ゆほびか/200年12月号」の特集で、お尻すぼめは腰痛の撃退に大きな効果があるという記事も載っているので、これについてもご紹介しておきます(福田医学博士の記事)。

体腔内圧とは、体の中から外に向けてかかる圧力です。体腔内圧を上げることは、腰痛を予防するうえで、とても重要な意味を持っています。
この体腔内圧を上げるための重要なかぎを握るのが、肛門をキュッと締めるお尻すぼめの動作なのです。

人間の腰椎への負荷の限界は500~700kgと言われているそうです。ですが、例えば重量挙げの選手が120kgのバーベルを持ち上げようとすると、腰への負荷は1t以上にもなる。何故彼らがそれほどの負荷に耐えられるのかというと、肛門を締めることによって体腔内圧を上げ、胴体の中にラグビーボールが入ったような状態にすることが出来るからだとのこと。ご存知のように、ラグビーボールは縦に圧力を加えてもまずは潰れません。その状態を作ることによって、腰椎や椎間板にかかる負担を減らすことが出来る。お尻すぼめ、なかなか優れもののようです。

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