前段の説明2 【ページ内目次】
●鼻呼吸が原則 ●「鼻」の機能 ●口呼吸の弊害 ●私の体験談 ◇余談
■鼻呼吸
●正心調息法は鼻呼吸が原則
他の呼吸法では吸うのは鼻からというのはほぼ一緒ですが、吐くのは「口から」というのがほとんどです。塩谷博士はそれでは駄目だとは言われませんが、鼻というのが呼吸のために作られた本来の器官なのだから、できるだけ鼻を使いなさいと言われています。
したがって、正心調息法は吸うときも吐くときも鼻を使う「鼻呼吸」が原則になります。
●「鼻」の機能
※以下の内容は「アレルギー体質は”口呼吸”が原因だった」西原克成著/青春出版社刊を参考にしています。
鼻はやはり呼吸のための機構をいろいろ揃えているようです。
西原氏は次のように言われています。
『鼻は臭いを嗅ぎ取る、たんなる空気の通り道ではない。むしろ、生命進化がつくりあげた精巧なエア・コンディショナーであり、からだを守る生体防御システムなのである。』
例えば、まず鼻毛というのは皆さんもご存知のように意味もなく生えているわけではなく、外から入ってくる大きなゴミを取り除くという機能があります。
また鼻の気道表面には繊毛が生えていて、絶えず粘液が流れ、そこでハウスダスト等も取り除いて、鼻水で外に出してしまいます。
その奥には副鼻腔という細かい穴があり、そこを空気が通ることによって温度を調節し、100%近くまで加湿して取り込んでいる。寒くて乾燥した状態を好むインフルエンザ・ウィルスも、したがって鼻を通る段階で大部分が除去されます。
こういう機能がなかったならば、北極とか南極で呼吸をすると、喉や気管支が皆「しもやけ」になってしまいます。1991年の雲仙普賢岳の大火砕流に巻き込まれた方たちは、まさに喉や気管支に火傷を負ってしまいましたが、それと逆のことが起こりうるわけです。
また息を吐くときも、鼻を通じて息を出すことによって、鼻腔内に適度な湿度と温度を確保するようにしているようです。上でも触れたようにウィルス類は寒くて乾燥した状態を好む、つまりは暖かくて湿度の高いところは苦手であるわけですから、鼻で呼吸すること自体がウィルス類に対するある程度の防御機能になっている訳です。
●口呼吸の弊害
風邪をひいたときなどに腫れる扁桃腺。これも重要な免疫器官だそうです。鼻で除去できなかった病原菌や異物もここで消化されてしまう。扁桃腺が腫れるというのも、それらのウィルス類を消化しようとする余波で炎症が起こるということだそうで、それ自体は悪い症状ではないようです。
しかし、扁桃腺が本来の力を発揮できるのは、あくまで空気が鼻を通ってきた場合のこと。本来はその器官でない口で呼吸をしてしまうと、汚れて温湿度調整されていない空気が気管支や肺に直接流れ込むことになる。結果、湿度が充分でないと機能しにくい肺胞にダメージを与えたり扁桃腺に過大な負荷を負わせることになり、さまざまな免疫障害も生じてくる。
西原氏によると、最近よく聞かれる原因不明の難病・奇病の多くは、口呼吸に起因する免疫病であるとのことです。ちなみに哺乳類で口呼吸ができるのは人間だけだそうです。おそらく、人間は話すという機能を持ったために、結果として口でも呼吸をできるようになってしまったのではないでしょうか。
また私の子供の頃は、扁桃腺は何の役目もしていないと言われていて、よく腫れる子は手術で除去してしまう場合も有りました。これも今では扁桃腺は自己免疫力に関わっているということで、やめる方向にあるようです。
●花粉症と鼻呼吸に関係する私の体験談
自覚症状としては健康面でこれといった問題を抱えていない私ですので、正心調息法でこんな効果があったという体験は少ないのですが、花粉症は見事に治りました。これについては下記の資料を参照してください。
私の体験談 「花粉症が一発で治った」 (PDF/A4サイズ)
ただしですが、この体験は事実では有りますが、その後の何年かは軽い症状が出ても鼻呼吸を意識すると酷くならない状況が続いていました。はっきりと覚えていませんが、2016年頃から3年ほどは本格的に復活、正心調息法で想念・内観するもなかなか効果が出ませんでした。やむなく医者通い。点鼻薬と正心調息法の併用で、この文を書いている2021年夏時点ではようやく症状も治まっています。
◇余談1
たしか「動物奇想天外」というTV番組だったと思いますが、以前こんなシーンがありました。
ペット用の給水器があります。水をボトルに入れて逆さに立てて設置するのですが、その先には管がありその先端には球が付いていて、その球を舌で押し上げると瞬時隙間が開いて水を飲むことができる。それをこれもたしかラッコで試していたと覚えていますが、舌で押し上げて出てくる水の量では物足りないらしい。で、どうしたかというと、ボトルの先端を鼻に押し付けて空気をドッと送り、多めに出てくる水を素早く口で受け止める、ということを繰り返していました。
そのとき出演していたタレントが「どうして口で空気を送らないのだろう」と不思議がっていました。口から空気を送れば、水はそのまま口で受ければいいわけですから、そのほうが合理的ではないかと、その時は私も思いました。
でも哺乳類で口呼吸が出来るのは人間だけだとすると、ラッコはそもそも口から空気を出すことは出来ないのかもしれませんね。
◇余談2
自分が日頃、鼻呼吸ができているかのチェック方法が有ります。
舌先、ベロの先端は何処にあるかということです。上顎についているか、浮いているか、下顎についているか、の三択。
常時上顎に舌先が付いている方は恐らくちゃんと鼻呼吸ができているようです。
正心調息法の講習会を始めた頃に何回か、この呼吸法では舌は何処に置くのですか、という質問が有りました。その頃は博士の著書でも触れられていないし、どこでもいいんじゃないでしょうか、なんて答えていましたが、全くの知識不足でした。
舌先が上顎に付いている状態で確保される頭の位置というのが、最も呼吸がしやすくて視界も広い位置なのだそうです。
こんなことを試してみてください。
唇を閉じて舌先を上顎に付けて、上顎に舌先を付けた状態は維持したまま唇を開こうとするとどうでしょうか。唇が開かない、あるいは開きにくいというとは有りませんか。講習会で試すと唇が開いてしまう人もいますが、ほとんどの方は開きにくいと感じられます。 上顎に舌先が付いていると唇が開きにくいということは、常日頃上顎に舌先が付いていると、必然的に鼻で呼吸するしかないというとに繋がります。